金子みすゞ わたしと小鳥とすずと より

大漁

朝焼け小焼けだ 大漁だ おおばいわしの 大漁だ

はまは祭りのようだけど 海の中では 何万の

いわしのとむらい するだろう

土と草

かあさんのしらぬ 草の子を なん千万の草の子を

土はひとりで 育てます。 草があおあおしげったら

             土はかくれてしまうのに


お花がちがって 実がうれて、その実が落ちて

葉がおちて、 それから芽が出て花が咲く

そうして何べんまわったらこの木はご用がすむかしら


わたしと小鳥とすずと

わたしが 両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、 とべる小鳥はわたしのように、 

地面をはやくは走れない。 私がからだをゆすっても きれいな音はでないけど、あの鳴るすずは私のように

たくさんなうたは知らないよ。 すずと。小鳥と、それからわたし、

みんなちがって、みんないい